正直に話せば『親の気持ち』は伝わる。
『ウエーーーーーーーーーーン!』
次男に付いている警報機(泣き声)が、リビングに鳴り響く。
また、すばしっこい長男に、
お気に入りの『ガーガ』(ショベルカーのミニカーを、こう呼んでいる)を、横取りされてしまったのだ。
僕はキッチンカウンターの中で洗い物をしているので、
いつもみたいに助けに入ることができない。
長男には、『人のものを取っちゃダメ!』
次男には、『取られないように気をつけて!』
と、言いたいところだが、
これを実践しはじめて、約1ヶ月が経つ。
今なら、少し離れたキッチンカウンターの中からでも、
『親の気持ち』を、伝えることが出来るかもしれない。
洗い物を中断して出ていっても良かったんだけど、
僕は、そのまま、洗い物を続けた。
正直に話せば『親の気持ち』は伝わる。
『ハジくん、ハジくん』
いつもより距離があるけど、
キッチンカウンターの中から、長男の名前を呼ぶ。
目をしっかり合わせて、伝える。
『横で楽しそうに遊んでいたら、欲しくなっちゃうよね』
まずは気持ちが分かることを伝えるのが大事だ。
『ハジくんも知ってると思うんだけど『ガーガ』のことを、ワタ(次男)は、すごく気に入ってるみたいなんだ』
『うちには他にもたくさんかっこいいミニカーがあるから、『ガーガ』だけは、ワタに返してあげて欲しい。ごめん』
それを泣きながら横で聞いていた次男、
どこまで理解できたのかは正直わからないんだけど、
泣き止んだ。
長男は、上目遣いで僕を見て、
ムスッとしていたけど、
僕はじっと目を合わせ続けて、待った。
しばらくして、長男は、
『アイッチ』と言って、
背中の後ろに隠していた『ガーガ』を、
自ら、次男に返した。
『ありがとう、ハジくん』
『パパ、いま、みんなが使ったお皿をキレイキレイに洗ってるから、これが終わったら、一緒にレゴブロックであそぼう』
『うえーい』(2人の歓声)
約1ヶ月、コツコツと正直な気持ちを伝えてきたことで、
2人の様子も、少しは変化が出てきたように見える。
なんでも、すぐにうまくいくようなことはないけど、
子供たちを信じて、これからも気持ちを伝えていこうと思う。