ブーブー VS でんしゃ


『でんしゃ!』
『いやーだ!ブーブー!』

 電車のおもちゃと車のおもちゃ。
 レールがごっちゃになってしまうので、
 同時に出さないのが我が家のルール。
 なので、たまにもめる。

 いつもは僕が仲裁に入って、
『そろそろ電車に変えようか』とか言って
 弱いほうの次男に味方をすることが
 多いんだけども、
 今回は新しく覚えた方法を試す。

『でんしゃー!パァパァーー!』
 次男がいつものように泣き叫びながら
 助けを求めてきた。

 今回は、あえて、助けない。
 次男の、いや、長男も含めて
 息子たち2人の自立のためには、
 少し『察しの悪い親』になることも
 必要なのだ。

『ワタは電車で遊びたい』
『でもハジくんはまだ車で遊びたい』
『これは困ったね、大変な問題だ』

『でんしゃー!パパー!パパー!』
 少しかわいそうだけど、
 ここはグッとこらえて、
 突き放す。

『パパに言われても困る』
『これは2人の問題だから』
『直接2人で話し合って決めて欲しい』
『2人なら出来るってパパは信じてる』

 2人の目を見ながら
 真剣に伝えた後、
 僕は無言で待った。
 2人とも無言になった。

 まだ2才だけど、
 なかなか緊迫した空気になる。

 最初に動いたのは次男だ。
 無言のまま車のおもちゃで
 黙々と遊び続けている
 長男の頭に手を添えて、
『でんしゃ、でんしゃ』と
 次男が自分から交渉をはじめたのだ。

 そうそう!その調子!
 僕は心の中で次男を応援した。

『いやーだ、ブーブー!』
『でんしゃ、でんしゃ!』
『ブーブー!』
『でんしゃ!』

 しばらく交渉が続き、
 とうとう長男が折れた。
『ブーブーない、でんしゃ!』
 長男はそう言って車のおもちゃを
 片付けはじめた。

『ありがとう!ハジくん!』
 僕は思わず長男に感謝を伝えて、
 ニコニコ顔の次男と3人で
 車のおもちゃを片付けた。

 その後、電車のおもちゃで
 仲良く遊んでる2人の姿を見て、
 僕は少しだけ感動した。

2013-08-06 | Posted in 子育てComments Closed 

関連記事