縦を横にする

 僕はあんまりイライラしないタイプだけど、育児のことでは、たまにイライラしてしまう。例えばこんな時だ。

 息子達が椅子の上に立ってはしゃいでる。今までに落ちて泣くところを何度も見ているので、落ちると痛いから止めたほうがいいよと僕は何度も注意をするけど、息子達は止めない。で、その後やっぱり椅子から落ちて大泣きする。

 その流れにハマると、ついイライラして「だから言ったじゃん!」と言ってしまうのだ。だけど僕はこの言葉が好きではない。というより、大嫌いだ。

 相手が失敗して落ち込んでいるところに、更に追い打ちをかけるような、冷たく突き放す感じがイヤです。思いませんか? 相手の心に良いものは何も響かないし、良いことがまるで無い。まぁ、あるとすれば、言った人の優越感くらいだ。僕は優越感が欲しいのではなく、怪我が心配なだけだ。

 もちろん友人や仲間には絶対にこんな言葉を僕は使わない。だけど親子という関係性がそうさせるのか、育児になるとつい偉そうに口に出てしまうのだ。

 「だから言ったじゃん!」

 その言葉の裏には「言う通りにしろ」という強制的なメッセージが込められている。それを伝え続ければ「言われたことをやれ」「言われてないことはやるな」と、ねじ曲がる危険性もある。これは部下に仕事を教える時も同じだ。

 息子たちには、自分の意思と個性を持ち、壁にぶつかった時には自分自身で考えて行動できる人になってほしい。だから僕の気持ちと、その言葉には大きな矛盾があるのだ。

 で、改めてもう一度、しつけの言葉について調べた。ポイントは、上から押さえつけるのではなくて、横から語りかけること。「ダメ」とか「早くしろ」とか強制的な言葉を使わなくても、しつけは出来る。「できるよね」とか「いいよね」とか、言い方を変えるだけいい。なるほど、そうだった。つい忘れてしまうから気をつけよう。

 それでも、注意した後に、やっぱり椅子から落ちるじゃないか。でもその時は、イライラをグッとこらえて、痛かったね、大丈夫? 気をつけたほうがいいよね。こんなふうに相手に寄り添い、気遣えばいい。なるほど、大人の対応だ。いや僕はもうすっかり大人なんだけども、これがなかなか難しい。頑張ろう。

 とにかく、僕の目的は注意を受け入れてもらうことだ。強制することではない。育児にはいろいろな考え方や、やり方があるけど、もしも僕が子どもだったら、親が自分の状況や気持ちに寄り添い、気遣ってくれたら、すごく嬉しいだろうし、素直に注意も受け入れられる気がする。どうでしょう?

 縦を横にする。これは僕の生き方のテーマでもある。だから育児の場でも、僕はそのことを気をつけたい。それでもやっぱりイライラすると思うけど。

2014-05-16 | Posted in 子育てComments Closed 

関連記事